留学3.0|これからの海外留学の目的とキャリア形成について

スマートフォンやソーシャルネットワークが浸透し、10年以上が経ちました。

とりわけ、Facebook、Youtube、LINEなど、新しいテクノロジーは単に利便性のみにとどまらず、私たちの社会や価値観までも大きく変えたといっても過言ではないと思います。

ところが、最近キュレーションサイトの閉鎖やフェークニュースが話題になったように、情報の氾濫する世の中においてはますます「何が正しいのか」を見極めることが難しくなりました。そして、これは留学にも等しく該当することではないかと思うのです。

今となっては海外留学は何ら珍しいことではありません。むしろ、近い将来には留学したことがない人が不思議に思われる時代が来るかもしれません。(実際に厳しい就活競争に置かれている韓国の大学生は、そのほとんどが休学して英語圏に留学しています。)

そんなますます留学が身近になっていく社会において、海外留学のメリットと留学後のキャリア形成について考えていきたいと思います。

時代別にみた海外留学の目的とその変遷

海外留学する目的は人によって異なります。例えば、語学留学、交換留学、大学院留学、社内留学、ワーキングホリデー留学など、各自が何かしら目的を持ち、成功ストーリーを夢見る「自己実現型」が主流でした。

ところで、このように留学が一般化したのは極々最近のことです。かつては命を賭して海外へ渡る留学生がほとんどでしたし、留学する層も政治エリートや富裕層に限られていました。

転機が訪れたのは1980年代に入ってからです。海外からの留学生を積極的に受け入れるようになり、私費留学生の増加が顕著に見られるようになりました。

同時に海外に渡航する日本人留学生も増え始めていますが、その目的は多様化しています。

本題に入る前に、まずは時代別に海外留学の目的とその変遷について考えてみたいと思います。

留学1.0 国レベル

四方を海に囲まれている日本において海外から知識や技術を学ぶことは古くから行われていました。例えば、教科書に出てくる遣隋使や遣唐使などが有名だと思います。

当時は航海技術も未発達で、命がけで大陸に渡っていました。大陸で学んで帰ってきた留学生は朝廷からも重宝され、様々な場所で活躍していたことは歴史が記すところです。

国レベルでの留学事業はしばらく続きますが、江戸時代に入り海外渡航が制限されてしまいます。その後、黒船来航で危機意識を持ち始めた江戸幕府は、使節団を欧米に派遣し、いよいよ近代化の必要に迫られます。

つまり、留学とは、自国より優れた制度や知識を学ぶため、国をあげて行っていた国家事業だったのです。この時期を留学1.0の時代と呼ぶことにします。

留学2.0 エリートレベル

戦後になり、日本人の主たる留学渡航先といえばアメリカでした。以前に比べると減少していますが、現在でもアメリカに留学する日本人学生が最も多いです。

現在、アメリカの大学に在籍している留学生のほとんどがアジア圏出身で、特に中国人やインド人が多いです。特にここ10年間で中国人留学生の数は激増しましたが、共産党幹部や富裕層の子息など、社会のエリート層が中心です。

かつての日本の留学生もほとんどが国費留学生でした。こうしたエリートが海外で学んで帰国した後、政府の要職に就いたり会社の経営の中枢を担ったりしたわけです。ちなみに、私の在籍していた大学院には東南アジア出身の留学生が多数いましたが、そのほとんどが高級公務員でした。

簡略化すると、経済的に余裕があり社会の中心たるエリートたちの専売特許だったと言えるのが留学2.0の時代です。

留学3.0 多様化

現在ではエリートだけではなく、私費留学生やシニア留学、高校生留学など、留学は多様化しています。この時期を留学3.0と呼びたいと思います。

この時代の特徴は先の2つの時期に比べると、目的や目標がある「自己実現型」ではなく、ただなんとなく留学してみたいという「自分探し型」の留学スタイルが見られるという点です。特にやりたいことが決まっているわけではないのですが、一種の流行りにのって海外に行く傾向にあります。

これには先程の2つの時代背景と比較してみるとわかりやすいと思います。かつては今より明るい未来が存在し、新しいことを学べば活躍することができるという前提が存在していました。平安時代であれ明治時代であれ、海外から学んできたエリートは重宝されていたのです。

一方で、現在では将来に対して明るい見通しを持っている人よりも、どちらかというと悲観的に考える人が多くなっています。そのため留学後のキャリアが不透明で必ずしも自分のプラン通りに行くとは限りません。

その結果、留学1.0や2.0の時代のように明確な目的があるわけではなく、なんとなく外国語を学んだり、外国での雰囲気を味わってみたいという人が増えているのではないかと思います。

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留学の目的はなくてもよい

海外留学の目的が多様化している留学3.0時代において必ずしも明確な目的を持つ必要はありません。

以前の私であれば、「目的のない留学なんて行かない方がいい」と友人・知人に助言していたと思います。ですが、今は「とりあえず行った方がいい」とアドバイスします。

かつては将来をある程度予測することが可能でした。高校・大学を出て会社に入り、結婚してマイホームを購入し、老後を準備するというライフプランが社会の共通項だったからです。言うなれば留学もこうしたライフプランの中の過程の一つであり、ポスト留学の世界も明確でした。

しかし、社会の変化が急速に進む現代において5年、10年後を正確に予測することはほぼ不可能です。今後数年で無くなる職業も出てくるでしょうし、今でも見えないところで次の時代が密かに戸口で待っているのです。

それならば、とりあえず行ってやるべきことやるくらいの心構えが大事です。もちろん、明確な目的があればそれに越したことはありません。ただ一方的に目的を持つべきだというのはナンセンスですね。時代の移り変わりによって社会的な価値観も変わるように、留学の目的もまた変わるものなのですから。

留学=選択肢を増やす

とはいえこう話すと誤解する人も出てくるので、私は留学の目的が明確ではない場合、まずは選択肢を増やすことを推奨しています。人生の選択肢はあればあるほど楽しいと思うからです。

例えば、私の場合、日本で初めて会う人と会話をする時、必ずといっていいほど韓国のことについて聞かれるので、そこで一般的に知られていない「韓国ネタ」を話すようにしています。そうすると、「へーそうなんだ」となって、いつの間にか周りに人が増えていることがあります。

これは韓国語を勉強した人やガイドブック、ネットなどで韓国に関する知識を持っている人にはできないことです。同様にどこか海外に留学してそこで見聞きしたことを話すだけで、新たな出会いや会話が生まれることがあります。これは留学経験者の強みだと思うんですよね。

海外留学の一次的な目的は何かを学び勉強することだと思いますが、それ以上に人生の選択肢を増やすことができる最適の機会だと思います。これは必須ではありませんが、人生を豊かにする選択肢としてぜひおすすめしたいです。

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留学後のキャリア形成

最後に留学後のキャリア形成について考えてみたいと思います。海外で学んだこと、経験したことを今後の自分のキャリアにどのように活かすのか悩みますよね。

そこでまずは数値化できるものとそうではないものに分けて考えてみたいと思います。

数値化と経験の具体化

まず、数値化できるものとしては、たとえば英語資格のスコアがあげられます。TOEIC、TOFLEなど、会社や海外の大学から求められるスコアがあると、その点数を取るために勉強すると思います。

これ以外にも大学や語学学校の成績表、単位など数値として残るものであれば就活で役に立ちますよね。

次に数値化できないものですが、これは経験値と言い換えることができます。現地でのボランティア活動、アルバイトなどの課外活動は数値として残りませんが、確かな経験としては残るものです。

ただし数値としては残らないので、第三者に説明する際には具体的に説明することが求められます。たとえば、面接の際、外国のレストランで働いたという経験をアピールするのであれば、その経験から何を学び、どのように活用できるのかといった説明が求められるわけです。

私はこの数値化できない経験値が重要だと思っています。というのは、TOEICなどのスコアは限界値が決まっていますが、経験値に関して言えばほぼ無限大だからです。つまり、やればやるほど伸びていくのが経験値です。

これからの時代に求められるスキル

一つの経験に対する解釈は千差万別です。そしてある一つの解釈に至る過程には無数の「なぜ」という質問が出て来ると思います。この「なぜ」という質問を突き詰めることで抽象的なものを具体的に描いていくことができるようになります。

要は「思考のトレーニング」といっていいかもしれません。正直、自分の経験を振り返り、そこに何かしら解釈を加えるという作業をすることは稀だと思います。忙しい毎日に追われて生きていると、過去を振り返るという機会はないに等しいのではないでしょうか。

その点留学という非日常的な経験は解釈の倉庫だと思うんですよね。そこには単純に好奇心から生まれたものかもしれませんし、自分でも気付かなかったある一定の行動パターンが存在しているかもしれません。そこから大きな気付きが得られることも留学の醍醐味だと思うのです。

こうした思考のトレーニングは今後ますます重要になってくると思います。単純作業、機械的な作業は自動化され、私たち人間に残された仕事はよりクリエイティブなものに置き換えられると言われています。その際に求められるのが「いかに効率的に物事を解決するのか」よりも「何に取り組むべきなのか」という視点です。

つまり、課題設定能力がこれからの時代に求められるスキルであり、留学はその最適なトレーニング場だと思うのです。

やったもん勝ちの世の中

今までの留学でも留学3.0の時代においても2種類の人間が出てきます。積極的に何かに取り組もうとする人とそうではない人です。

特に現代社会においては自分探し型の留学が多く、やりたいことが見つからないと行動しないというタイプの人が多い印象です。良く言えば慎重、悪く言えば不器用です。

以前であればがむしゃらに取り組んでいれば先が見える時代でした。ところが、今はどの道が正しくて、何が間違っているのかが判断しづらい時代です。

だからこそまずはやってみることが大事だと思うのです。留学の目的で悩んでいるのであれば、とりあえず行ってみる。もちろん、ある程度国や地域は絞ってからですが、今ある選択肢の中からできることを始めるのがいいと思うのです。

もし選択肢がなければ増やす必要があります。留学はそのための手段だという話は先に書いたとおりです。留学の成功は自分次第という言葉はよく耳にしますが、行動しないことには成功も失敗もありませんし、悩みながらチャンスを待つより、やったもん勝ちの世の中になるのではないかと思いますね。

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